Extended beer distribution game incorporating shelf life and delivery deadlines
Expiry Beer Game(ExpBG)は,サプライチェーンマネジメントを学習する古典的なシミュレーションゲームである「ビアゲーム」に,食品の鮮度低下と廃棄期限の要素を加えた拡張版で,東京農業大学(佐藤ゼミ)と青山学院大学(水山研究室)が共同で開発,運用しているものです,
プレイヤーは,ある食品のサプライチェーンを構成する4つの段階のうちいずれかを担い,毎期の発注量を決定します.自分の担当段階のコストを意識しながらも,最終的にはチーム全体の総コストをいかに最小化できるかが問われます.
通常のビアゲームでは,「在庫を多く持てば欠品リスクが下がる」という基本的なトレードオフが判断の出発点でした.ExpBG ではここに廃棄期限が加わることで,このロジックが崩れます.
古い在庫は期限が来ると自動的に廃棄されるため,在庫量があっても欠品を防げないケースが生じます.廃棄を恐れて発注を抑えると欠品が増え,欠品を補おうと大量発注すると今度は廃棄が増える——このサイクルが,ブルウィップ効果をより複雑な形で引き起こします.
各段階が自分のコストだけを最小化しようとしても,サプライチェーン全体のコストは必ずしも最小化されません.各段階に設定された廃棄期限は,その段階だけの制約ではなく,食品がどのような「鮮度の状態」で下流に届くかを左右します.ある段階での判断が,期限を介してサプライチェーン全体に波及する構造をもっています.このゲームでは,個々の段階のコストと,サプライチェーン全体の総コストを区別して振り返ることが重要です.
サプライチェーンは以下の4段階で構成されます.食品は上流(製造)から下流(小売)へ向かって流れ,発注は下流から上流へと伝わります(顧客から小売店への需要は外生的に与えられます).
各段階のプレイヤーは毎期1回,上流への発注量を決定します(製造工場の発注は生産計画に該当します).
プレイヤーのスコアは,以下の3種類のコストの合計で決まります(合計が低いほど優秀).
| コストの種類 | 発生条件 |
|---|---|
| 保管コスト(Holding) | 手元に在庫を持ち越すたびに発生 |
| 欠品コスト(Stockout) | 下流からの注文に応じられなかった分に発生 |
| 廃棄コスト(Waste) | 期限を超えた在庫が廃棄されるたびに発生 |
このゲームの最大の特徴です.食品の製造からの経過時間をその食品の Age と呼びます.各段階には在庫に許容される Age の上限,すなわち廃棄期限,が設定されており,これを超えた食品は自動的に廃棄されます.廃棄はコストになるため,「注文しすぎて古い在庫を抱える」ことへのペナルティが加わります.
発注した食品が届くまでには,デフォルトで2期間の遅れ(リードタイム)があります.つまり,今期発注した食品はリードタイム経過後の期に届きます.この遅れを見越した計画が重要です.
参加人数が足りない場合,余った段階には,自動発注する AI が割り当てられます.AI は過去の受注実績をもとに機械的に発注量を決定します.
本ゲームは,2ラウンド制での運用を想定して設計されています.
初期設定の期限のままゲームを開始します.各プレイヤーは自分の段階の情報だけをもとに発注量を決定し,廃棄・欠品・ブルウィップ効果がどのように生じるかを体験します.
チームでラウンド1の結果を振り返ります.議論の焦点は以下の2点です.
振返りをもとに,チームで話し合って各段階の廃棄期限を設定し直します.例えば,上流の期限を適切に絞ることで,そこでは多少の廃棄が生じるかもしれませんが,下流に届いたときに食品に十分な鮮度の余裕が残り,サプライチェーン全体での廃棄・欠品を減らすことができるかもしれません.
チームが設定した期限でラウンド2を実施します.結果をラウンド1と比較することで,期限設計の工夫がサプライチェーン全体のパフォーマンスをどう変えたかを確認します.
ゲームの詳細については,ファシリテータ向けと,一般プレイヤー向けのガイドが用意されていますので,下のリンクから参照してください.ゲームのページへのリンクも下にあります.
Your essential guide to smoothly facilitating the Expiry Beer Game (ExpBG)
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